■叫べばいい、だが誰にもその声は聞こえない■(シロエ)


悪魔のように、脳髄に直接響く声。
僕の抵抗など羽虫の羽をもぐことより容易いと嘲る声。


多分出口はない。
これはフェアなゲームではないから。


「世界がフェアに出来ていないことをあなたも知るべきだ」


だから僕が精一杯目の前の壁にぶつかる。
なぜか僕に優しくしようとする壁に精一杯抵抗する。


その不器用な優しさにからめとられてしまったら、僕は立ち上がることさえ出来なくなることが分かっているから。


「僕は愛情などいらない」


踏みにじってやる。そしていかに愚かか知ればいい。
誰にも聞こえないというならば、存分に叫んでやる。


「僕はあなたなんかに愛されたくない」

それはまるで身を焦がすような愛の告白。


悪魔のように、脳髄に直接響く声。


『叫べばいい、だが誰にもその声は聞こえない』


(選択お題)

配布元:モノクロ写真