■切符はなくしたよ■(シロエ)


僕はもう帰れない。
帰り道を忘れさせられたばかりか、切符すら取り上げられたのだから。


そこが僕の帰る場所だったのに。
美しくなくとも、蔑まれようとも、価値がなかろうとも、そこだけが僕の帰る場所。


ああきっと近いうちに、僕は切符をなくしたことすら忘れてしまうのだろう。


(アイ・レット・ユー)

配布元:キンモクセイが泣いた夜